企業の人材育成・雇用Manpower training
晴れて内定を取得されたら、正式的に働きだすために入国管理局へ在留資格の変更申請を行わなければなりません。 ここでは、留学生からの転換が一番多い「技術・人文知識・国際業務」在留資格へ変更するために必要となるもの、申請のタイミングなどをまとめました。
基本的に、下記の条件が求められます。
・本人の学歴(専攻、研究内容など)、実務経歴、スキル(資格)は行おうとしている職務内容に合致すること
→大学以上の場合は、そこまで厳密に関連性を求められないですが、まったく関連性のない業務でしたら拒否されることもあります。専門学校生の場合は、より厳しくチェックされることが多いです。例えば、コンピューターサイエンスを専攻し、卒業見込みの大学生がエンジニアとして就職することになれば許可される可能性が高いです。
・日本人同等あるいは以上の報酬を受けること
→「外国人だから」と賃金を低くすることを禁止するためであり、同時に単純労働を禁止するためでもあります。つまり、体力労働などではなく、きちんと大学(あるいは専門学校)で学んだことを生かせる業務に従事させ、かつ適正な給与が支払われることが要求されます。
・雇用機関の業績が安定しており継続性が認められること
→基本的に会社の業績がよくないと、社員への給料などにも響きます。なので、上場している企業、あるいは未上場だがある程度規模の大きい企業に内定をもらった場合、在留資格変更もしやすくなることが多いです。もちろん、いまが赤字の会社に就職してはならない、というわけではなく、今後はちゃんと収益が見込めると書類で証明できれば問題はありません。
・いままでの在留期間中、入管法に定める届出等の義務を履行していて、違法行為などがないこと(アルバイトの時間超過等も含む)
→つまり「ちゃんと法律を守っている」と審査官に証明することです。入国後住所を定めてから、またはその後引越をした場合、14日以内に役所へ届け出をするなど、決められた届け出をきちんと行われることも要求されます。また、週に28時間しかできないアルバイトを1度でも超えてしまうことがあれば、在留資格変更に支障が出る可能性があります。スピード違反など小さなものなど含め、不利な要素がありましたら隠ぺいせずに、まず専門家である行政書士と相談することをおすすめします。
申請する際に、内定された企業により提出書類が違ってきます。まず企業の分類を見ていきましょう。
・カテゴリー1
①日本の証券取引所に上場している企業
②保険業を営む相互会社
③日本又は外国の国・地方公共団体
④独立行政法人
⑤特殊法人・認可法人
⑥日本の国・地方公共団体認可の公益法人
⑦法人税法別表第1に掲げる公共法人
・カテゴリー2
前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人
・カテゴリー3
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)
・カテゴリー4
カテゴリー1から3のいずれにも該当しない団体・個人
上記の説明にわかりづらい専門用語が多いのですが、基本カテゴリー1は上場企業と公共団体(例えばJICA)、カテゴリー2は上場していないがある程度規模のある企業(従業員1,000人以上が目安)と見ていいでしょう。
カテゴリー3、4の場合は、提出を求められる資料はかなり多くなりますが、しっかりと準備していれば落ちる可能性は低いと考えられます。
自分が入る予定の企業のカテゴリーが判明したら、下記の提出書類を準備しましょう。
・在留資格変更許可申請書
法務省入国管理局のホームページ(http://www.moj.go.jp/content/001138354.pdf)からダウンロードできます。
一般的に、1~2ページ目はご自分で記入していただき、3~4ページ目は内定をいただいた企業に記入していただくものになります。
申請人本人記入してもらうための1ページに関しては、特に難しい項目がありません。注意していただきたい点としては、「省略しない」、「空欄にしない」ことです。
例えば、卒業した大学(専門学校)の校名を省略せずにきちんと記入すること、答えることのない項目でも「なし」を記入することを心がければ、提出のための書類前審査がだいぶ楽になります。
また、入管で書類などを提出するとき、窓口の職員が初歩的なチェックをしてくださいます。その場で何かミスが指摘されたら修正印が必要となりますので念のため、印鑑も一緒に入管までお持ちください。
下記、記入例を付記いたしますので、ご参考ください。
*記入すべき箇所を赤文字で記入しておりますので、ご自身の状況に合わせてご記入ください。
・写真(縦4cm×横3cm)
申請から3か月以内の無背景のもの、との指定はありますが、実際いまの在留カードと、その前に入管に提出したことのある写真以外は特に突っ込まれることはありません。うっかりしていまの在留カードと同じ写真しか持参していない場合、入管で撮り直さないといけませんのでご注意ください。また、万が一のため写真を申請表に貼る前に背面に名前を軽く記入してください。
・パスポート及び在留カード
当日は提出せず、持参だけで大丈夫です。
・専門学校を卒業し専門士又は高度専門士の称号を取得した者については,専門士
又は高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書
複雑そうに見えますが、専門学校の発行する卒業証書、卒業証明書で大丈夫です。原本とコピーを両方もっていったほうが安心でしょう。
・労働基準法第 15 条第1項及び同法施行規則第5条に基づき,労働者に交付される労働条件を明示する文書
一般的に「内定通知書(給与、福利厚生など労働条件が記入されていること)」あるいは「労働条件通知書」が適用されます。発行されていない場合は内定先の企業にお問合せしましょう。
・申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書(内定先がカテゴリー3、4の場合)
いままでの学歴や職歴と就業予定企業との親和性を見極めるためです。職歴を持っていない留学生の場合、先述のとおり大学あるいは専門学校での専攻との関連性が見られます。
・四季報の写し(内定先がカテゴリー1の場合)
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)(内定先がカテゴリー2、3の場合)
・登記事項証明書(内定先がカテゴリー3、4の場合)
・事業内容を明らかにする資料(会社のパンフレットあるいはHPの会社概要ページをプリントアウト)(内定先がカテゴリー3、4の場合)
・直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書(内定先がカテゴリー3、4の場合)
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする資料(内定先がカテゴリー4の場合)
上記の資料は、内定先にお願いして準備していただく資料になります。「在留資格変更許可申請書(所属機関作成用)」と一緒に渡してもらうことが多いです。会社の人事担当者と細かく連絡を取り、丁寧に協力をお願いしましょう。