企業の人材育成・雇用Manpower training
日本の就活って、いろいろルールがあり、外国人留学生にとっては理解しづらいもの。本サイトでは、日本での就活を経験し、いま実際に日本の企業に勤めている先輩に根掘り葉掘りインタビューをしました! 第四弾は、中国で大学を卒業してそのまま日本での就労を始めたLくん。日本での就活とは別で、海外大卒が日本に来たい場合はどうすればいいのか、貴重な経験をお聞かせいただきました。
L.X.くん
中国出身、外国語学部卒業
2017年卒 大手金融サービス会社在職中
Q:Lくんは、大学在学中に大阪大学での交換留学を経て、今大手金融サービス会社に勤務していると思いますが、中国の大学を卒業する際にどのように就活を行ったのかからまず教えてもらっても良いですか?
A:はい。私の場合、いま働いている会社と並行で中国の企業にも応募していました。こちらの内定をいただいてから、中国国内の内定を辞退して、日本での就職に踏み切った、というわけですね。
Q:中国の大学は、日本とは違って6、7月卒業が普通だと思いますが、Lくんはどのような扱いで今の会社に就職しましたか?
A:普通の新卒は4月入社ですが、私たちの入社時期に関しては、大学の卒業からブランクが出ないように日本側の会社が配慮してくれて、10月の入社にしていただきました。
Q:やはり、大学の入学時期と一緒で日系の会社も海外新卒の卒業時期に合わせるトレンドになっていますよね。
Q:それでは、どこから今の会社の求人情報を手にしたのかについて説明してもらえますか?
A:確か、大学のクラスのウィーチャットグループにいる学校の先生から情報を受け取った記憶があります。大学4年生はみんなインターンとかで学校にはいないので、ウィーチャットで情報交換をすることが多いです。私も入社後、北京オフィスの人事に情報を共有するようにと頼まれたことがあって、その時も学校の先生にお願いしてウィーチャットで流してもらいました。
Q:ウィーチャットを活用した就活情報交換は本当に便利ですね。私が卒業した時期はまだそんなに多くはなかったのですが、いまは普通にモーメント(*ウィーチャット=中国版ライン=のタイムライン機能)でも日系会社の求人情報が流されている時代になってきましたね。
A:そうですね!日系企業は北京、上海、大連では支社を持っていることが多くて、いま所属している会社も北京で現地オフィスを持っています。その現地オフィスを使って本社のグローバル採用をするケースですかね。
Q:日本で留学をしてから就活という主なルートとは違い、このような会社も増えているということは、やはり日系企業もグローバル採用に目を向き始めた、と感じますね。いまはまだ社数は少ないのですが、採用サイトでも大々的に「海外大卒歓迎」を掲げている企業もありますのでそちらも併せて情報収集したほうが良いかもしれません。
Q:ウィーチャットで情報を入手して、それから応募されたと思いますが、具体的にどのようなプロセスを踏みましたか?ちなみに日本だと書類選考の後にグループディスカッションや個人面接、集団面接などいろんなパターンがありますが。
A:私の会社の場合、書類選考の後に4回面接がありました。
Q:お、多いですね…やはりそこは日系企業らしいですね。それでは書類選考についてまずお伺いしたいのですが、どのような資料が求められましたか?
A:中国式の履歴書、日本語能力試験や英語試験の合格証明書くらいですね。正直な話中国での選考ですのでさほど中国国内の企業とは違いがありませんでした。
Q:なるほど。中国式の履歴書と言っても、内容的にも基本情報と賞罰とか、日本のものと結構近いと思うのでそれだけでOKを出す企業もあるんですね。
A:特に日本語版の履歴書は求められなかったのでそうかもしれませんね。
Q:面接は4回あったと教えていただきましたが、それぞれどのような形でしたか?面接官の国籍、面接で使った言語や聞かれた質問など、お差し支えない範囲内で紹介していただいてもいいですか?
A:1回目の面接は北京オフィスの人事の方に中国語で面接していただきました。質問も1次面接らしく、履歴書や専攻についていくつか質問を受けて、そして日本語能力のテストとして日中の翻訳をその場でさせられました。翻訳のテスト含めて大体30分前後とそれほど長くはなかったです。
Q:なるほど。面接の場で日本語能力を確かめる方法もいろいろありそうですね。
A:その次の面接は人事ではなく、結構親切な、北京オフィスの少しポストの高い方でしたが、その方も中国人で、面接も中国語で行われました。
Q:どのような質問をされましたか?
A:そうですね、私大阪大学に交換留学した経験を持っているので、それについていくつか質問いただきました。そのほか大学在学中に取り組んでいたことや、日本に行って就労する場合家族は反対しないのか、とかですかね。あとはキャリアプランについても聞かれました。ずっと日本で働きたいのか。日本でまず経験を積んでそのあとに他の国に赴任したいのか。日本でしばらく働いてから中国に戻りたいのか。の3択でしたが、私はずっと日本で働きたいと思っていたのでそのまま答えましたね。
Q:うんうん。キャリアプランに関する質問はかなりキーポイントだと思います。私が就活していた時も、結構そう聞かれましたね。この答えも正直企業によるのですが、海外に進出する気がない企業だったら何年間働いてからいきなり母国に帰ってしまうことを危惧するでしょうし、Lくんの会社みたいにたくさん海外展開している会社にとっては逆に全然損ではなく、むしろプラスアルファになりますよね。
A:3回目の面接のとき、本社の人事の方が東京から北京に出向いてくれました。もちろん日本人の方で、面接も日本語でした。ただ、具体的な内容があまりなく、ほぼほぼ雑談でした。
Q:出たー(笑)「雑談力」ですね。ただの雑談からでも日本語能力や人からを見極めるというパターンですね。
A:すいません、1つだけ。英語での自己紹介はこの時点で聞かれました。それ以外は雑談でした(笑)
Q:4回目の面接はずばり最終面接だったのですか?日本では形式的なものもありますが、Lくんが受けた会社はどうでしたか?
A:うーん、どちらかというと形式的に近いですね。3次面接の合格者にインビテーションレターを出して、全員東京に招いてくれました。
Q:ええー、結構なコストじゃないですか。それくらいお金をかける、ということはほぼほぼ内定確実という理解でいいですよね。
A:実際最終面接で会社に行ったら、取締役クラスがずらーとテーブルの向こうに座っていました(笑)
Q:なるほど。それでは内定通知はどのタイミングで出されたんですか?その場ですか?
A:いや、北京に帰ってからでした。春節のタイミングだったのでよく覚えています。
Q:晴れて内定をもらってから、来日の手続きだと思いますが、ここまでどれくらい時間かかりましたか?
A:応募したのが2016年の年末で、内定されたのが2017年の2月ですので2か月あまりですかね。
Q:日系企業のグローバル採用にしてはかなりのスピード感ですね。その後、ビザとかに関しては会社もサポートしてくれたと思いますが、大体なスケジュールを教えてくれませんか?
A:そうですね、内定後に、3月くらいですかね。パスポートのコピーとか、申請表とかいろいろ求められた資料を日本に送って、7月くらいに在留資格認定証明書を受け取ったと思います。それから旅行会社に通じてビザを申請して、その年の9月に来日したというスケジュール感ですね。
Q:それでは応募から入社まで9か月、ということですね。新卒の場合これくらいかかるものですね。
A:あとは住居のサポートもしてくれることになっていましたが、私は自分で部屋を見て探したかったのでお断りしました(笑)
Q:結構サポートも手厚い感じでよかったです。グローバル採用を行うだけでなく、サポート体制もしっかりと整えるという企業は増えてほしいですね。
Q:時間長くなってしまいすみません。最後に、今後日本で就職をしたい!と考えている後輩に向けて何かメッセージをいただいてもよろしいですか?
A:はい。わかりやすく言うと、日本企業での就職は地獄みたいに難しいことではありませんが、しっかりとした準備が必要だと私は思います。なので、海外大卒にも十分チャンスはあるとみなさんに自信をもっていただきたいです。あとはすごく基本なことですが、誠実でいることですね。日本企業だけでないのですが、わからないと思ったことは素直に「わからない」といったほうが企業の方の印象が良くなりますので。
Q:お時間いただきありがとうございました!