留学の新常識Study abroad
数百の語学学校が存在し、人気が衰えることのないフィリピン留学。欧米の3分の1の費用でマンツーマンレッスンや試験対策授業が受けられる点は魅力的ですが、全ての留学生に適した留学先とは限りません。目的に合わせた留学先が選択できるよう、しっかりと自分にとってのメリット・デメリットを把握しましょう。
フィリピン留学の最大の特徴はマンツーマンレッスンですが、このマンツーマンレッスンにもメリットとデメリットがあります。メリットは何と言ってもSpeaking機会の多さです。欧米の語学学校では1クラス10~20人程度のグループレッスンが主流で、生徒ひとりひとりが話す機会は限られてしまいますが、マンツーマンでは他の生徒を気にすることなく自分のレベルに合わせて英語を使う事ができます。ですが、マンツーマンだけに慣れてしまうと大人数でのディスカッションやカンバセーションの際に思うように発言ができないという生徒が多いです。グループレッスンで他の生徒の発言を参考にしたり、人の間違いに気づいたりする事も英語力をアップさせるためには重要です。Speaking力を伸ばしたいという理由でオールマンツーマンのコースを希望する生徒もいますが、6:4程度の割合でグループレッスンとバランスよく組み合わせる事がオススメです。
「日本人生徒の少ない学校で英語漬けの留学生活を送りたい」「色々な国の留学生と授業以外でも交流したい」という希望も多いですが、フィリピン留学の国籍バランス、授業形態は他の留学先に比べ特殊です。アジア圏からの留学生が大半で、中には生徒の6〜7割が韓国人、日本人率100%といった学校もあります。これだけ生徒の国籍が偏ってしまうと校内では母国語が飛び交っているという状況をよく目にします。ルールは存在してもEnglish Only Policyが機能していない学校が多いのが実情です。また、学校主催のアクティビティー等は少なく、あくまで学校での勉強がメインの留学となりますので、短期間で目に見える成果が欲しいという方にオススメです。欧米では生徒の国籍がバランスよくミックスされ、毎日のように学校主催のアクティビティーが行われ積極的に生徒同士の交流を促している語学学校もあります。フィリピン留学と比べグループレッスンが主体で費用も高いという点が難点ですが、「全ての希望を完璧にクリアした留学先」というのは難しいので、留学の目的を明確にし、やりたい事に優先順位を付けて留学先を決めていく事が重要です。
TOEICやTOEFL、IELTSなどの試験対策にフィリピン留学は効果的で、2〜3ヶ月でTOEFLが数十点アップしたという例もたくさんあります。そのため、アメリカやカナダ、オーストラリアなどの大学進学に向けてフィリピン留学に行く方も増えています。もちろん試験対策コースで入学基準となるスコアを目指す事も、マンツーマン重視のカリキュラムでSpeaking力を伸ばす事も重要ですが、TOEFLやTOEICで高得点、英語での日常会話が得意=海外の大学の授業についていける。というわけではありません。むしろ、大学進学時に必要なのは何ページもの教科書を短時間で読むReading力や大量のレポートを書くためのWriting力です。欧米の語学学校では一般英語コースや試験対策コースとは別に進学準備コースを設けている学校が多く、レポートの書き方やノートの取り方など、大学の授業に向けてアカデミックな内容の授業を行なっています。費用やマンツーマンレッスンを理由にフィリピン留学を選ぶ方が多いですが、留学の目的を見失わず、自分にあった留学先を選択する事が大切です。