留学の新常識Study abroad
2017年のトランプ氏のアメリカ大統領就任以来、アメリカ政治には賛否両論が巻き起こっていますが、日本人の意識においてもアメリカ以外の国への大学進学意欲が高まっているようです。 大学留学先として、アメリカとよく比較検討される国の代表として、カナダがあります。アメリカと同じく北米にある先進国ですが、アメリカとカナダとでは、大学教育が大きく異なることがご存知でしょうか。
アメリカの場合は、ハーバードを筆頭とする大学が始めた、教養重視の教育が、今日に至るまで大学教育の根幹を形成しています。
文系や理系に限らず、また知識偏重になることもなく、バランスの取れた人格形成をしようという趣旨があります。入学時には原則として、専攻に入ることはできず、最初の2年ほどは教養課程を履修し、残りの2年で比較的専門的な学習を通して、教養を高めます。このような教育は、他国ではほとんど見られない、アメリカの大学の大きな特徴となっています。
一方、カナダでは、イギリスなどヨーロッパ型の大学教育を行っており、基本的に研究者養成を目指す、研究・専門特化型の大学教育を行っています。大学出願の段階で、希望の専攻に対して直接出願をし、入学後はその専攻の専門分野に特化した学習をします。例えば、経済学科に入学した学生は、卒業するまでの3~4年間は経済学の授業のみを履修することが一般的です。
なお、アメリカの大学院では、原則として、学部課程で学ばなかった専攻で進学することが可能ですが、カナダの大学院では、学部課程で学んだ専攻を、さらに突き詰めて勉強するため、学部課程と別の専攻を学ぶことはできません。
アメリカでは、大学の学部課程では教養を重んじており、出願の際にも人物面の評価を重視する書類審査が行われます。この際、基本的には高校までの学業成績だけでなく、エッセイ、推薦状、履歴書、英語力(TOEFL・IELTS・英検など)、日本のセンター試験に似たSAT・ACT等、場合によっては面接やポートフォリオ(代表作品)、様々な角度から人物を見極めたうえで合否を判断しようとする傾向があります。
カナダにおいては、留学生として大学出願する場合、高校での学業成績と英語スコアで、画一的な合否判断がされることが一般的です。その他の書類はそれほど重要視されないことが一般的ですが、その分学業成績と英語スコアの重要性が高くなります。
日本人の場合は、日本の大学受験で必ずしも高校の成績や英語スコアが必要とされないことから、海外大学進学を早めに検討してこなかった人ですと、高校の成績や英語スコアが、アメリカやカナダの大学出願で求められる水準に達していないことが少なくありません。
学業成績が良好だが、英語力が低い人はアメリカの大学を、その逆の人はカナダの大学を優先して検討するとよいかもしれません。一般的に、アメリカの大学ではTOEFL iBT61~80・IELTS5.5~6.5、カナダの大学ではTOEFL iBT80・IELTS6.5が要求されています。
カナダの大学に進学する方法としては、①カナダの大学の学部課程に直接出願、②カナダの大学の付属英語コースから進学、③語学学校経由でカナダの大学に入学、の主に3パターンがあります。
最初から、TOEFL iBT80点あるいはIELTS6.5を持っている、あるいは取れる自信が
あるという人は、カナダの大学の学部課程に直接出願するとよいでしょう。英語コースを経ない分、費用を押さえて、かつ最短期間で大学卒業できます。
TOEFL・IELTSスコアを取得できなかった、あるいは取得はできそうだが最初から学部課程の授業に入るのは不安だという人は、大学付属の英語コースから進学するとよいでしょう。ただし、すべての大学が付属英語コースを持っているわけではないため、選択肢として考えられる大学は限定される可能性があります。
私立・民間の語学学校から留学を開始し、規定の英語力が付き次第、カナダの大学に入学するという方法があります。大学進学に強いカナダの有力語学学校は、多くのカナダ国内(あるいはカナダ国外も含めて)の大学と提携を結んでおり、規定の英語レベルを修了した際には、TOEFL・IELTS不要で出願し、合格していくことが可能です。
ELSやILAC、ILSCなどは、優良語学学校がひしめくカナダの中でも、大学進学に強いプログラムを持っています。