ICT教育ICT Education
デジタルネイティブに対するICT教育とその中で先生はどのような役割を担っていくのが良いかをITリテラシーの観点も踏まえ記述をしています。
現在の学生はほぼ100%生まれたときからITデバイス(IT機器)に慣れ親しんでいるデジタルネイティブとして育ってきており、ITデバイスを使うことに対しての抵抗感、ハードルはものすごく低いと言えます。多くの中学生、高校生にとってはスマートフォンは日常生活でなくてはならないアイテムとなっていますし、PlayStationなどのゲーム機も従来と比べるとかなり高機能化したITデバイスとなっています。彼らはITデバイスの使い方を学んで習得するというより遊びなどの中で日常的に使うことによって直感的にその使い方を知るようになります。
その一方でデジタルネイティブといわれる世代以前の人たちの多くはPCをはじめ、ITデバイスの使い方を学んだり練習したりすることでデバイスが使えるようになっている人たちだと思います。1995年に「Windows革命」と呼ばれたWindows95が発売される以前はPCはそれほど一般的ではありませんでした。もちろんその当時でもワープロなどのITデバイス(今ではITデバイスの範疇に入らないのかも知れませんが)は汎用性を持っていましたが、パソコンというデバイスについてはその当時はまだ趣味的な利用、またはITリテラシーが高い人のみが利用するデバイスでした。いまは状況も大きく変わり20代、30代の若い世代の先生はITリテラシーが高い先生も多く小中高の各校でICT教育を実施する際にはこの世代の先生たちが中心になって進めていくことが多いと思います。
文部科学省もICT教育を進めていることもあり、教育の現場ではいまやICT教育という言葉は日常的に聞かれるようになっています。授業の中でもiPadなどのタブレット端末を使うことは当たり前になってきました。生徒たちはそのようなITデバイスの使い方を直感的に習得していくので授業の中で端末の使い方を教えることはほとんどありません。一方で先生たち、特に年配の先生たちはITデバイスの使い方が時として分からず生徒に教えてもらうことがあるなど先生の間でのデジタル・ディバイド(情報格差)も見られます。
上記からも分かる通り、ICT教育が行われることになって先生と生徒の関係性についても従来の関係からは変化しています。一昔前は学校では先生から生徒へ一方的に教えるという形であったのに対して今はインターネット等で情報を得ることで場合によっては生徒が先生に教えてもらうことなしに主体的、協働的に学習することも可能な状況になっています。今後先生は絶対的に教える立場の人間ではなくよりファシリテーターの立場で生徒を導いていく役割、生徒の自発的な学びを支援していく役割を担うことが多くなっていくのではないでしょうか。ICT教育を進めなければいけないと考える学校は多いと思います。それは方向として間違ってはいないと思います。ですが、ICT教育としてITデバイスを単に導入するだけでは既存の先生の役割が無くなっていくだけになります。端末などのデバイスの利用を一層進める事と平行してICT教育によって変化する先生の役割も念頭に置くことがより意味のあるICT教育につながっていくのではないかと考えます。その意味ではICT教育を効果あるものにするポイントの一つは先生側の意識の変革であると言えるのではないでしょうか。