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「自分の『軸』を決めて、貫こう」-上場IT企業 Tくんインタビュー

日本の就活って、いろいろルールがあり、外国人留学生にとっては理解しづらいもの。本サイトでは、日本での就活を経験し、いま実際に日本の企業に勤めている先輩に根掘り葉掘りインタビューをしました! 第七弾は、誰もが知る日系大手IT企業で働いているTくんが登場です。日本での就職を決めたわけや、業界選びをしたときの葛藤、時間配分で失敗した経験まで盛りだくさんです!

「自分の『軸』を決めて、貫こう」-上場IT企業 Tくんインタビュー

プロフィール

T.Y.くん

中国出身、理工系大学院卒業

2016年卒 東証一部上場IT企業在職中

 

就活の振り返り

Q:Tくんは、いまシステム開発を主に事業展開している大手IT企業で就職されていると思いますが、日本での就活を決めたタイミングと理由をまずお聞かせいただけますか?

A:僕の場合、大学の時は1年間日本への交換留学を経験して、大学院も日本で過ごして、せっかく日本で大学院まで卒業したので、こっちで少し働いてみたいという漠然とした気持ちがありました。あと、帰国するにしても、新卒だとあまり企業から興味を持ってもらえないので、ある程度勤務経験を持ち帰ったほうが良いかなとも思って、日本での就職活動を始めました。それが多分2016年の3月ですね。

Q:なるほど。ちょうど情報解禁のタイミングですね!それでは、続けて当時応募した社数を教えてもらってもいいですか?

A:うーん、大体10社くらいですね。僕の場合、夏卒業だったので、修士論文と被ってしまった時期もあり、就活の頻度を意図的に落とした時期もありましたので、社数はそこまで多くない感じです。

Q:夏卒業ですと、そういう就活と学業の兼ね合いと言いますか、葛藤はかならずありますよね。

A:そうですね…あと僕ら留学生の場合、本当に何も基礎知識もない状態から手探りで就活を始めるので時間かかりますし。

 

就活前は、日系企業をどう思ったのか

Q:うんうん。業界研究とか、自己研究とか日本人のみなさんは1年前とかからやっているんですが、外国人はそもそも就活をすると決めるタイミングも遅いので…

A:タイミング遅いし、考えることも多いですからね。僕の場合、就活をしようと決めた前に日本で働くことに対してもマイナスな印象だってありましたし。

Q:ぜひそこも詳しくお聞かせください!

A:わかりやすく言うと、残業が多いですし、敬語を使わないといけないですし、あとは外国人だと昇進が難しくなりそう…とか。

Q:まぁひと昔のバブル時期とかは確かに残業が多かったですよね…もちろん今も全くないとは言えないですが、政府が掲げている「働き方改革」を皮切りに多くの企業が改善に努めているという現状もありますよね。

A:日本企業の研修もしっかりしていますし、大手企業だと福利厚生も豊富なので、そこも日本企業ならではという感じですよね。

Q:うんうん。日本の新卒一括採用は、即戦力採用ではなく、何の知識やスキルもない状態から入社してもらって、時間とコストをかけて育てていくスタイルですので、よく専攻と仕事の内容とまったく関係がないという人もいますし。

A:僕はまさにそうでした。大学や大学院では理系の専攻でしたが、別に好きなわけじゃなかったので、文系の総合職を主に応募していましたが、ほとんどの会社からはいやな顔はされませんでした。

Q:新卒の場合、入りたい業界には入れるけど、中途採用となると即戦力が求められるので逆に未経験の職種だったら難しい、という日本の人材採用の特徴とも言えますよね。

 

業界絞りに苦労していた…?

Q:それでは志望業界についてお話をお伺いしたいのですが、どのような業界を狙っていましたか?

A:さっきも言っていたように、最初は本当に手探りだったので、不動産の営業、貿易、ゲーム、人材といろんな業界を見ていました。とにかく、いやな業界を全部消して、それ以外のものなら、といった感じでまんべんなく説明会に参加していました。

Q:合同説明会とかもかなり行かれていたんですよね。

A:そうですね!リクナビとマイナビのイベントは結構行っていました。

Q:留学生向けのものもあると思いますが、そちらはどうですか?

A:はい!留学生向けの説明会もよく行きました。パソナという会社が月に何回留学生向けのセミナーをやっていますし、「リュウカツ」とか、「NINJA」とか留学生専門の就職情報サイトもありますので、そちらもちょこちょこ使っていました。

Q:うんうん。ネット上の情報以外、ご友人とかとも情報交換されましたか?

A:もちろん。そこは日本人、留学生限らずですね。今留学生枠を設けず、応募したすべての学生を同じ基準で採用する会社も増えていますし。友達以外でも、本屋とかで売られている対策本もある程度参考にしていました。

 

つらかったこと・うれしかったこと

Q:それでは、少しデリケートな話になるかもしれませんが、就活で一番つらかったな、と思うことは何だったんでしょうか。

A:つらかったことですか?えーと、実は僕就活の時、学業もありましたし、バイトも入っていましたので、正直就活の準備にはがっつり時間をさけなかったんです。そのせいで、多くの選考に落ちてしまって、またゼロから他の会社に応募しないといけない、という悪い循環に陥っていた時期がありました。それが結構つらかったですね…

Q:それは確かに痛いですね。準備時間が足りなければ、日本式の就活では致命的ですもんね…

A:痛かったですね。何とかエントリーシートとかで友達に協力してもらってやってきたのに、面接で業界とか会社について聞かれて何も答えられなかったということがあったので、それからは学業に集中すべきときは学業に、就活に集中すべきときは就活に集中していました。

Q:一回失敗したことを忘れず、改善していくことも大事だと思いますので、結果からみれば今も大手企業に就職されていますし、糧になっていると思いました。

A:そうですね!この会社の内定を手にしたときには本当にほっとしたと言いますか、とってもうれしかったです。一番報われた瞬間でした。

 

選考を通して得た経験

Q:それは本当にそうだと思います。内定をもらえたらそれまでの苦労は一気になくなりますよね(笑)それでは、選考についてもお話をお聞かせ願いたいんですが、まずエントリーシートに関して何かやったほうが良いとかアドバイスいただけませんか?

A:僕の場合エントリーシートの通過率は半分より少し上という微妙な感じでそこまで参考にならないかもしれませんが、対策本とかを読んで日本人が見るポイントを知り、ネット上でもその業界のエントリーシート例を見つけてやるなどしていました。

Q:いまネット上では登録すればエントリーシート例とか書き方のマニュアルが見れるサイトが多いですよね。それらも本当に大事なリソースだと思います。

A:面接の場合、何回も参加していると同じパターンの質問が多いことに気づきます。同じ業界でも、違う業界でも繰り返し出てくる質問がありますので、そこも注意しておいたほうが良いかもしれませんね。あとは実際に誰でも言っていそうな答えはしないほうが良いかなと個人的に思っていて、面接官に覚えてもらえるために、しかも良い印象を与えるための準備が必要ということですね。

Q:そうですよね!ありがとうございます。特に集団面接とかではかなり大事なポイントだと思います。

 

後輩たちへのメッセージ

Q:それでは、最後にこれから就活をする後輩や、いま就活中の後輩に向けて、何かメッセージをいただいても良いですか?

A:はい。あくまでも個人的な見方ですが、日系企業に入るのであれば最初は大手のほうが良いかなと思っています。なぜなら、教育制度が整っているし、いままで留学生を受け入れてきた経験のある会社が多いからです。比べたら小さい会社、例えばベンチャーとかだと、新卒でも即戦力が求められることが多いです。もちろんベンチャーを否めるわけじゃないですが(笑)

Q:そうですね(笑)。その意味でいうと、大手企業を自分のファーストキャリアを選んだほうがきちんとした研修が受けられて、社会人の基礎力を鍛えられますよね。

A:あと将来帰国しても職歴は見られるはずなので、名の知れないベンチャーよりは大手のほうはインパクトがあるということは間違いないと思います。

Q:帰国しての就職をゆくゆく考えていきたい場合はそうですね!

A:そうそう。あとなんでしょう。好きじゃない業界や職種は無理に選ばなくてよいとも考えています。まさに僕の場合はそうで、大学や大学院での専攻はそこまで好きというわけじゃないので、就活で逆転を狙って、現に成功しているわけなので、ご自分の「軸」をしっかり持っていただいたほうが良いかなと思います。

Q:貴重なご経験をお話いただき、ありがとうございました!

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